歯医者がバッチリ教えます!虫歯を予防する歯磨きのコツ

正しく歯磨きすることで効果的なケアを

虫歯の予防には、日常的に自分で行うケアが何よりも大切です。
ところが、みんなが当たり前にやっていることだからこそ、知らずに我流に流れがち。今こそ、なんとなくでやっている歯磨きを見直して正しい歯磨きのやり方を身につけましょう。

意外と知らない『歯磨きの常識』

厚生労働省は定期的に歯の病気の実態を調べていますが、この調査を見てみると歯を磨く頻度は年を追うごとに増えていて、今では大半の人が1日に2~3度は歯を磨いているようです。
ただ、その内容まで尋ねてみると、意外と間違った認識を持っている方も少なくないのかもしれません。最近になってわかってきたこともありますから、今一度、正しい歯磨きのやり方を再確認しておいたほうがいいでしょう。

  • 食事の後一呼吸置いてから磨く

    食後すぐは口の中が酸性に傾いていて歯質が傷つきやすい環境です。30分ほど時間をあけたほうが歯に優しく磨くことができますよ。

  • 1日1回だけでもいいので時間を1本ずつかけて磨く

    1日3回ダラダラ磨くよりも、そのうちの1回だけでもいいので時間をかけて磨き残しがないように細心の注意を払って磨くようにしましょう。

  • 虫歯予防にはフッ素入り歯磨き粉がおすすめ

    2017年から市販の歯磨き粉により高い濃度のフッ素を入れられるようになりました。フッ素は虫歯の予防に効果的なのでぜひ活用しましょう。

  • 磨く時間がない人ほど電動歯ブラシを活用しましょう

    電動歯ブラシは上手に使えば短い時間できれいに磨くことができます。歯磨きが苦手だったり、磨く時間が取れない人ほど活用のしがいがあります。

虫歯を防ぐ夜の『仕上げ磨き』

歯ブラシに歯磨き粉をたくさんつけて磨くと、早くから清涼感が得られて十分にブラッシングができないまま“磨いた気”になってしまう傾向があるようです。今は虫歯を防ぐフッ素入りの歯磨き粉などもドラッグストアで簡単に手に入れることができますが、十分にブラッシングできなければ、結局のところあまり効果的とは言えません。

それでは、歯垢(プラーク)をきれいに落とすおすすめの歯磨き方法をご紹介しましょう。
まず、歯ブラシに歯磨き粉をつけないで、歯ブラシの毛先を立てるように隅から隅まで磨き残しのないように磨きましょう。とくに前歯の裏側の裾や、奥歯の後ろ側は汚れがつきやすいので、1本1本の形を意識しながら丁寧に磨きます。十分磨いたら、今度はフッ素が入っ歯磨き粉を歯ブラシにつけてもう一度隅から隅まで磨き、口をすすいでおわりです。
このように2度磨きをすることで、歯垢(プラーク)の落とし残しを防ぎ、歯磨き粉の効果も十分活かすことができるのでおすすめです。
また、歯と歯の間にある隙間には、フロスや歯間ブラシを使うこともおすすめの方法です。歯間ブラシにはSSSからLまで5つのサイズがありますので、隙間に入れたときに抵抗なく動かせるものを選ぶようにします。

一通り磨くのに結構時間がかかってしまい慣れないうちは大変に感じてしまうかもしれませんが、毎食後このように磨くのではなく、夜寝る前だけでも入念に時間をかけて磨くようにすると虫歯の予防に非常に効果的ですよ。

歯ブラシは常に清潔に

歯ブラシの管理についても、患者さんからよく質問を受ける内容です。何気ないことかもしれませんが、やはり歯ブラシも衛生的に管理したいものです。
ついついやってしまいがちなのが、歯ブラシをビニール製の密閉容器に入れたり、洗面台の収納に入れたりしてしまう保管方法ですが、これでは毛先がなかなか乾かず、雑菌が繁殖する余地を与えてしまいます。歯ブラシの保管の基本は、できるだけ風通しの良い場所に毛先を上にして保管することで、1日だけ使用した歯ブラシでは、十分に乾燥させることで大半の菌を除去できるとされています。
ただし、1週間、2週間と歯ブラシを使用していると菌の付着が見られ、乾燥させても十分な除菌ができなかったという報告もあります。また、歯ブラシの毛先は使うたびに磨耗していき、歯垢(プラーク)をかき出す力がどんどん低下してしまうと考えられます。

このように、歯ブラシは基本的には消耗品ですから、たとえ口ざわりが良くてお気に入りの1本でも、同じ物を長く使用するのではなく、だいたい1ヶ月くらいを目安にして新品と交換することをお勧めします。

正しく歯磨きできているか定期的に検査しましょう

セルフケアが正しくできているかをプロの目線から確認してもらうことも必要です。当院でも「虫歯になってからの治療」ではなく、「虫歯になる前の予防」にあたるPMTCを提供しています。
これは歯医者や歯科衛生士といった口腔の専門家がお口の中を徹底的にクリーニングするものですが、同時に磨き残しができている場所がないかを調べ、伝えるようにしているので、セルフケアの精度を高めていく上でとても効果があると言えます。上手に活用して、セルフケアをプロケアで補うようにしてください。

虫歯ケアは「正しい歯みがき」と「食べ方の改善」が対策の両輪です。虫歯を防ぐ食べ方についても別記事で解説していますので、合わせてご覧いただければより効果的な予防が実践できるのではないかと思います。