「虫歯が痛くないから歯医者に行きたくない」が危険な理由

歯医者が苦手だからこそ

学校や会社の健康診断を受けると、虫歯の有無についても調べられることがありますね。そこではときどき、COとかC1といった専門用語が飛び出しますが、これは虫歯ができていることを表します。
ところが患者側からしてみると、COやC1の虫歯ができていてもほとんど痛みは感じませんし、痛みがあってもまだまだ我慢できる程度です。ですから、普段から歯医者には行きたくないと思っている人では、受診を勧められても結局行かないという人も少なくないようです。
痛みがないのにわざわざ歯医者さんに行きたくないという気持ちはよくわかります。歯医者が苦手ならなおさらです。しかし、それはせっかくの治療の機会を逃してしまう非常にもったいない行為だということをご存知ですか?どういうことか説明しましょう。

虫歯のはじまりは痛くない

歯科検診で登場するCOやC1という専門用語は、虫歯の進行程度を表しています。

  1. 第一度(C1)

    第一度(C1)は、虫歯が歯の表面のエナメル質という部分に限られている状態で、見た目には歯の表面が白く濁って見えています。この段階ではそれほど痛みは感じません。

  2. 第二度(C2)

    第二度(C2)になると、虫歯が歯の象牙質という柔らかい部分に到達し、冷たい物を食べたり飲んだりしたときに強く痛みを感じるようになります。

  3. 第三度(C3)

    さらに進行して第三度(C3)になると、ついに歯の神経まで虫歯に感染して、常にズキズキと激痛を伴うようになります。治療は、たいていの場合神経を取る大掛かりなものになります。

  4. 第四度(C4)

    第四度(C4)は歯の大部分が崩壊し、根の部分だけがかろうじて残っているような状態です。神経が死んでしまい、もはやそれほど痛みを感じません。こうなると、あごの骨の内部にも膿が溜まってしまい合併症のリスクも深刻な状況です。ほとんどの場合で、もう歯を抜くしかありません。

これに虫歯になりかけている段階を表すCOを加えて、健康診断では5段階で虫歯を評価しています。このように進行程度の順に見てみると、虫歯は進行すればするほど厄介な病気だということがわかります。虫歯は進行性の病気で、一度進行の程度が進んでしまうと自然に治ることは期待できないばかりか、治療を行っても元に戻すことができないのです。

ですから、痛みがない段階で虫歯が見つかることはとても幸運なことです。程度の軽い虫歯の治療であるほどほとんど削らずに済みますし、通院の回数も1回や2回で終わります。なるべく歯医者に行きたくないと思っている人ほど、痛い思いをせずに治療を済ませるチャンスを得たと考えて、長引かせずに治療を受けて欲しいと思います。

歯医者も変わってきています

歯医者が怖いという人はとても多いようで、高所恐怖症や閉所恐怖症などと並んで「歯科恐怖症」という言葉もあるようです。
こんな言葉があるくらいなので、歯科の治療はとにかく痛い、つらいというイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、最近の歯医者さんはだいぶ様子が変わってきました。麻酔を施して治療することが一般的になり、普通の虫歯治療ぐらいならかつてほどの痛みを感じることはありません。
当院でも、歯医者での治療が不安な方、怖い方になるべくストレスをかけないように、局所麻酔なども活用しながらなるべく痛い思いをさせないように細心の注意を払って治療をしています。

今でも虫歯は日本人が歯を失ってしまう主要な要因の一つです。まだ症状が軽いうちに虫歯が発見されたということはとても幸運なことなのですから、ぜひ早めに治療を始めるようにして欲しいと思います。