甘く見ては危険!指しゃぶりや舌の癖などの口腔習癖が歯並びに与える影響

将来にも影響を与える良くない“癖”

「いつまでも見ていたい赤ちゃんの可愛い指しゃぶり」「舌遊びや頬杖などの何気ないお子さんの癖」しかし、歯科分野においては、これらの行動は「口腔習癖」と呼ばれ、歯並びに悪影響が出ることが徐々に明らかになってきました。
悪い歯並びは見た目だけの問題でなく、将来の歯や体の健康にも影響します。

そこで今回は、代表的な口腔習癖と歯並びへの影響をまとめました。
多くの場合、口腔習癖は無意識のうちに出てしまうため、是非お子さんの日頃の様子をチェックして、早めの改善を心がけましょう。

歯並びに影響する口腔習癖の3つの例

歯並びに悪影響を及ぼす口腔習癖は、主に以下の3つに分類されます。

  • 指しゃぶり

    赤ちゃんは生後2〜3か月くらいから、手を自分の意思で動かせるようになり、指しゃぶりが始まります。そして、1歳くらいになると、おもちゃや他のものに興味を持ち始め、徐々に指しゃぶりの回数が減っていきます。
    しかし、3歳を過ぎてからも指しゃぶりを続けている場合は、改善が難しくなるため注意が必要です。

  • 舌の癖

    上下の歯に隙間が開いていると、舌癖になる確率が高まります。
    舌癖は前歯の隙間に舌が入ってしまい、サ行、タ行、ナ行、ラ行などが舌足らずな発音になりがちです。また、この癖がある人は、食べ物や、飲み物を飲み込む時に、舌が前に出てしまう「異常嚥下癖(いじょうえんげへき)」と呼ばれる癖をあわせ持つ可能性も高まるのです。
    異常嚥下癖は、矯正治療中や治療後において、噛み合わせが安定しないといった問題を起こすことも報告されています。

  • 頬杖をつく

    手で顎や顔を覆う頬杖は、歯並びだけでなく、顔の歪みにもつながります。
    人間の頭の重さは、体重の「約10%」。つまり、体重が30kgの場合、頭の重さは約3㎏です。一点に重さが集中する頬杖は、骨格の安定していない成長期において、顎や顔に深刻な負荷がかかります。
    そして、顎が歪むと、生えてくる歯が収まりません。結果的に、歯並びが悪くなり、将来的に「口角の角度」「目の大きさ」「眉の高さ」「耳の位置」などに影響を及ぼします。

口腔習癖が及ぼす歯並びへの影響

  • 出っ歯になる

    上顎の前歯が前に出ている噛み合わせのことを「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼びます。一般的な出っ歯のことです。
    幼少期から成長期は、歯の質や顎の骨が柔らかく、前歯が安定せず、指しゃぶりや舌癖などによって長時間、前歯に強い力が加わると上顎前突の原因になります。
    出っ歯になると、歯が邪魔をして口が開いたままなので、口呼吸になりやすい傾向にあります。また、口が突き出したように見えるため、大人になってから、見た目を気にされる方も大勢いらっしゃいます。

  • 噛み合わせが悪くなる

    奥歯の噛み合わせが横にずれて、上下の前歯の中心が合わなくなることを「交叉咬合(こうさこうごう)」と呼びます。
    症状が軽い場合は、見た目にあまり影響しないこともあり、ほとんど気づきません。しかし、噛み合わせがズレると食べ物を細かく出来ないので、消化吸収の能力が低下し、栄養をきちんと摂取できません。
    また、悪い噛み合わせは顎関節症の原因にもなるため、注意が必要です。

  • 口呼吸になる

    唾液には口腔内のウィルスや細菌を洗い流す自浄作用があります。しかし、口呼吸になると、口腔内は乾燥し、唾液が出にくくなるため、自浄機能が低下してしまうのです。
    そのため、風邪やインフルエンザウィルス、虫歯や歯周病の原因菌も、繁殖しやすい環境になってしまいます。また口呼吸は、脳機能にも影響することがわかってきました。
    人の思考や記憶に関係する脳の前頭葉は、口呼吸だと、フル回転状態です。
    休むことができず、常に疲労状態なので、注意力や学習能力の低下につながると言われています。

まとめ

口腔習癖は自分で気づかないことが多く、意識しないと改善が難しいため周囲の声かけや協力が大切です。
赤ちゃんの指しゃぶりは、口元に手が行くときに、何か別のおもちゃを与えましょう。ほかにも、お子さんが舌で遊んでいたり、頬杖をつく癖を持っていたりする時には、優しく声をかけてあげるのも効果的です。

ゆざわや歯科クリニックでは歯並びや健康に悪影響を与える癖の原因を把握し、様々なアドバイスが可能です。そのうえで、矯正治療や口腔内トレーニングもご提案いたしますので、当クリニックまでお気軽にお問い合わせください。